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前回のコラムの中で糖尿病治療の目標(下図)をお示ししましたが、図の右側に「Stigma(スティグマ)、社会的不利益、いわれない差別の除去」という言葉と、「advocacy(アドボカシー)」という言葉があるのに気付かれたでしょうか。これらは何を意味するのでしょうか。
「Stigma(スティグマ)」という言葉は一般的には耳慣れないかも知れません。日本語に訳するならば「(負の)烙印」というと分かりやすいと思います。糖尿病に皆様はどのようなイメージをお持ちでしょうか。糖尿病治療は年々向上しており、適切な治療を行うことで動脈硬化の進行を防ぐことができるということはヒント★04でも既にお話ししました。それにも関わらず、糖尿病と診断された際には多くの方が「糖尿病とともに生きていくことを不安に思う」などの負担感を感じることが報告されています(菊地悦子、谷亀光則、堺秀人. 糖尿病44(5):415-421, 2001より)。
また、例えば間食をしているときに咎められたとすると、隠れて食べざるを得なくなったり、会食などに参加しづらくなったりするかも知れません。スティグマを放置すると、糖尿病であることを周囲に隠したくなり、結果として適切な治療の機会を失うこともあり得ます。Advocacy(アドボカシー)は「主張」や「擁護・代弁」の意味合いを持ちます。スティグマの重大な悪影響を改めて認識し、それを取り除くことで糖尿病であることを隠さずにいられる社会を作ること、これを目指した支援活動がアドボカシー活動です。学会、協会や医療機関だけでなく、個人のレベルで行うアドボカシー活動は、糖尿病に関するスティグマの解消を目指すために有用と考えられます。
患者さんが幸せな人生を送れるよう、この視点も大切にしましょう。
【ヒント★01】新型コロナウイルス感染症と糖尿病
【ヒント★02】熱中症を予防しよう。
【ヒント★03】感染対策と食事・運動療法の両立
【ヒント★04】新しく追加された糖尿病治療薬
【ヒント★05】サルコペニアを予防しよう
【ヒント★06】スティグマとアドボカシーって何でしょう?
【ヒント★07】2020年を振り返って
次回【ヒント★08】インスリン100年 2021年はどんな年に?
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